カフカの事で、早稲田(村上春樹)へ行く(2)
今回この展示会に行って一番驚いたのは、多和田葉子氏の新たな翻訳で、これまで、『虫』(或いは、毒虫)と言っていたのを、彼女は、
『・・複数の夢の反乱の果てに目を醒ますと、寝台の中で自分がばけもののようなウンゲツィーファー(生け贄にできないほど汚れた動物或いは虫)に姿を変えてしまっていることに気がついた。』とやっている事だ。
多和田葉子訳「変身(かわりみ)」『ポケットマスターピース01カフカ』より。
これは早速読んで見なくてはならない。
この村上春樹のライブラリーは快適に思える。彼のジャズレコードのコレクションの一部を、ジャズ喫茶的に(音量は低いが)流している部屋もあり、喫茶室もある、・・ところどころの本を読む椅子など装置も豊かだ。
カフカは亡くなる時、親友ブロート(だっけ?)に、全ての原稿を焼却してくれと願い、ブロートはそれを無視して、カバンに入れて、あのヒットラーのドイツから逃亡した。カフカはあの最悪の時期の少し前に亡くなったが、愛する妹(まるで賢治だ)はガス室に消えた(妹はドイツ人と結婚していたのでガス室を避けられたのに、進んでユダヤ人として死んだ)。
一歩間違えば、長編のカフカは世界に存在しなかった。
(何となく、カフカ、宮沢賢治、村上春樹、って性格が似てる気がする・・妄想?)