超硬質なドキュメンタリー映画、「国葬」と「粛清裁判」を見る |65歳からアートを造る(今75歳)
新百合ヶ丘のミニシアター、「アルテリア」でロシアのセルゲイ・ロズニッツ監督のドキュメンタリー映画「群衆」3選の内の2つ「国葬」と「粛清裁判」をそれぞれ14日、15日、2日連続で、見に行った。大量に発見された過去のフィルムを編集したものだそうだ。
猛烈なドキュメンタリー映画である。それぞれ約2時間+の長さ、両方ともに、スターリン絡みのドキュメンタリー、「国葬」はスターリンの死に伴う20世紀最大のスペクタクルとしての国葬、「粛清裁判」はスターリン支配下に置ける偽のでっちあげ事件の、後の大粛清の時代への前哨戦に向かう偽裁判の様子である。
延々と単調に進むドキュメンタリーであることを受け入れて、そのつもりで見ないと、さっさと退席するだろう。
「国葬」は延々と、スペクタクルを映す、2時間15分ずーっと国葬の最初から最後までを群衆の様子を中心に、延々と映して行く、圧倒的な群衆であり、映像である。飽きもせず、ずーっと最後まで見た。すべての中心に飾られたスターリンの死体がある。
粛清裁判もリアルな裁判の進行をずっと追っかける、が、これも発見された過去のフィルムからだそうだが、実はリアルな裁判ではなく、スターリンサイドが作ったストーリーによるフィクションだとの事。被告たちもリアルな役職・立場で反革命のための偽政党「産業党」での役割を演じて。その裁判を実際本当にあったように裁判を行い、大衆に反革命の恐ろしさ、その処分の厳しさを印象付けようとしたお芝居であるとの事、そんな裁判をきっちり撮影して、映画も作って、反革命分子をけん制しようとしたものらしい。実際は映画は制作されず最近フィルムが発見されてここに作品として完成したとの事らしい、・・・しかし、最後のナレーションでは銃殺刑になったものもいて、演技で銃殺刑に処せられた???とちょっと様子が分からない。奇妙な偽裁判のドキュメンタリーなのである。
とにかく、両方とも、おもしろかった。