アダマの不始末 3日目(2)|ドゴン族の村へ、自然と文化のダブル世界遺産にアートを求めて

アダマはバスをチェックしてきて、「俺達が乗るのはこのバスだ。」と断言した。あと、数台があたりに止まっている。
そして、そのバスの前ドアの前に陣取った。先頭だった。そこに、手持ちのバッグを置き、バスへの乗車の案内を待ち受ける体制を整えた。
既に、バスの屋根の上では大きな荷物をその荷台に乗せていた。かなりの分量の荷物が、それは自転車もあれば、むちゃくちゃ大きい布袋とか、ダンボール箱とか、何でもが載せられてゆく。
「屋根の上の荷物は、他の町への商用の貨物で、乗客の荷物ではない。乗客の荷物はもっとあとで車体の下の荷物室に入れられる。が、間違っておろされる危険があるので、われわれの荷物はバスの中に持ち込む。」と解説してくれた。
また、チケットを見せながら「我々は5番目だ。」てな事を言う。

まだ、出発時刻といわれている時刻の20分ほど前である。
「ユーは朝食を食べたのか?」と聞くので、「ああ、LAFIAで食べたよ。」
「俺は食べていないので、ちょっと食べてきていいか?」「OKだよ。」
ということで、アダマはバスの前扉の位置から離れて、自分の荷物もそこに置いて、広場の入り口の方へ消えていった。

屋根の上の方へカメラを向けると上の作業員からやめろ、と叫ばれた。

しばらくすると、乗客が後扉に集まりだした。ちょっと焦りながらもあたりを見渡し、アダマの姿を探す、が見当たらない。どうやら、乗車は前扉ではなく、後扉かららしい。
ヤバイと思い、アダマの荷物も一緒に持って後扉の人の輪の方へ移動した。何か係員が叫んでいるのだけれど、分かるわけもない。突然、思い出した、乗る順に名前を告げているのだ。もう、かなり進んでいる。もうすでに5番目に呼ばれたのだろうと思う。
と、やっとアダマが現れた。「どこに居たんだ?乗車が始まっている。」
「窓口の係員は定刻から乗り始めると言っていたのに、こんな早くとはおかしい。」
と、言っているが、完全にいい訳だ、こいつガイドのくせにバスの乗車作法も知らないのではないか、と最初の疑いが生じた。
ドンドン名前が呼ばれ、どんどん人が乗ってゆく、とっくの昔に呼ばれた我々の名前がでてくるはずもない。なのに、アダマはなすすべも無く、立っているだけ・・・「何とかしろよ。」うながすとようやく係の所に無理やり近づき、交渉し始めた、何とか乗る順になった。

中には既に8割がたの席が埋まり、通路には荷物が溢れ、しょうがないので離れ離れに、先に入った私は乗客のおばさんに導かれて(けっこう親切です)最後部席に一つ空いていたのでそこに、アダマは中ほどに席を取る。
要するに5番目に入っていれば、通路を挟んで並び、荷物もその間の通路に置くと言うベスト席を得られたのに、アダマの怠慢により、けっこうむちゃくちゃな席にしか座れない、と言う羽目になってしまった。
当然、かなり頭に来た。
客に荷物番までさせて、バスの乗車作法も知らず(?)、遅れて、ひどい席にしかつけなかったのだから、大失態である。
それはわかっているのに、アダマは、冷静を装っている。
このままではなめられる・・・・・と思うのは当然ですね。

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